ベイトリールのドラグ設定を理解する

2018.6.3

ガチガチに締める ≠ 最大ドラグ

ベイトリールにはハンドルの横に星型のドラグノブがついていますが、これを力いっぱい締めた状態が最大ドラグになっていて、ちょっと回りにくくなったところが実用ドラグになっていると思いっていませんか。

半分正解です。

理屈を理解しておかないと、アレ思ったの違う。となります。

MAX まで締めて引っ張ってみる

スプールに糸を 100%まき、ドラグを壊れない程度に締め込んで、荷物の重さを測るやつで測ってみてください。

スペックには最大ドラグ 5.5kg と書かれているはずなのに、2kg 前後で糸が出ます。

「ドラグ壊れた?」と思うかもしれませんが、これが現実です。

実はドラグの強さはラインの巻量によって変わるのです。

最大ドラグを発生する状態

スプールに 5m ~ 10m 程度の糸を巻いた状態で、ドラグを壊れない程度に締め込んで、同じように測ってみてください。

先程よりも、強くなっていることに気づくはずです。

スプールにラインが 100%巻かれている状態では弱い力でスプールを回せますが、ラインがわずかしか巻かれていない状態では強い力がないとスプールを回せないわけです。

テコの原理というやつですね。

つまり、スプールの外形によってドラグの強さが変わるということです。

理解した上で注意する

ラインを 100%巻いた状態でラインが切られないようにドラグを設定していても、ラインが減ってくると、ドラグが強くなってしまいますので、ラインブレイクしてしまいます。

これを理解していないと、ラインが減ってドラグが強くなっているのが原因で切れているのにドラグが追いつかずラインを切られた。

と、勘違いしてしまうわけです。

ドラグ 2kg とは

ドラグが最大 5.5kg のリールで、スプールに糸を 100%巻いた状態だと、2kg 程度でドラグが滑り始めるとすると弱すぎないかと思いませんか。

実はでショア/陸っぱりから狙う魚でドラグ 2kg を何メートルも引き出せる魚はそうそういません。

私の調べでは、ランカーシーバス、ブリやヒラマサの 10kg クラスの魚と対峙しても 15m も出されないようです。

スプールにナイロンラインを 100m 巻き、50 ~ 60m キャストした状態では 3kg 程度のドラグ力があり、大物がヒットしても竿のしなりとナイロンライン特有の伸びを利用すると、竿を曲げて踏ん張っていれば魚は寄って来ることになります。

ドラグ 2kg を引き出せる魚はそうそういない。

ちなみに、マグロクラスになるとドラグ 5kg くらいは発生させておかないと止められないようです。

ドラグは締めるもの

「ドラグは途中で締めるもんだ」という人がいますが、これまでの説明を読むと理解できますね。

沖で魚を走らせて疲れさせてから取り込みたい。

と言うのは、キャストしてスプールからラインが減った状態ではドラグが強すぎて走らせられません。

体力を残したまま岸に寄せてくるとドラグが弱くなり、ラインを出され、あえなくラインブレイクになるわけです。

ドラグは魚との距離が短くなったら締めろ。

最適なドラグ設定とは

ベイトリールは本当に小難しいですね。

ドラグの最適な設定は、ラインがどのくらいスプールから減った状態で、どのくらいのドラグ力を発生させたいかを決めます。

例えばスプールから 60m ラインが減った状態で 2kg のドラグ力を発生させたいとしましょう。

100m ラインをまく場合は、40m ラインを巻いた状態で、2kg のドラグ力に設定します。

この状態で魚がヒットすると 2kg のドラグ力がかかり、糸が出ていくごとにドラグが強くなる計算になります。

魚を寄せてくるときにはラインを巻き取っていくごとにドラグ力が弱くなっていくため、ドラグを締めていかないと、魚が急に走り出します。

魚を取り込んだら、元のドラグ力に戻すわけです。

実釣中はドラグ力を測りなおすことは出来ませんので、感覚を掴むか、スタードラグに印をつけるなどして覚えておくしかないです。

ドラグはラインが出た状態で調整せよ。

気づくこと

細い糸を使っているとどうなるか。

これまでの説明で気づきがあるはずです。

スプールの外径がほとんど変化しないような細い PE ラインを巻いた状態だとどうなのかと。

スピニングリールの場合は、PE ライン 1 号が 500m 巻けるリールに下巻きを入れて 150m とか 200m まくことがあります。

PE1 号なら物によっては、20lb あるからドラグを全力で締めてもドラグは出ないだろうと思っていたら、何回もドラグを出されて大変だったと。

「フルロックのドラグが何回も出された。」

という武勇伝を聞くことがありますが、PE1 号程度の細いラインでは、ラインがスプールの外径変化が少なく、実際に 100m くらいラインが出ても対してドラグが効いていないので、たくさん出されるわけです。

まとめ

基本的な考え方として、

スプールに巻かれたラインの残量でドラグ力は変わる。

スペックに書かれている最大ドラグ力の数値は、

スプルールに巻かれたラインが最小の値になっている。

ということです。

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